公開日 2025年11月03日
皆さんは、日頃「短歌」を読んだり、詠んだりしていますか?
短歌は「5・7・5・7・7」という31音でつくられる、季語のいらない詩のような表現形式です。特に「現代短歌」と呼ばれる戦後以降の短歌では、暮らしの中の出来事や心の動きを、日常の言葉で描くことが主流になっています。俵万智さんの『サラダ記念日』は、その代表的な一冊ですね。
健康文化交流館「来・て・こ」2階の《南部勤労者福祉センター》では、そんな短歌を題材にした全4回の講座「短歌で考えよう。『はたらく』って何?」を9月から12月にかけて、月1回のペースで実施しています。
この講座では、「働くこと」をテーマに受講者が自分の短歌を詠み、その作品をもとに、静岡市出身の歌人・白川ユウコさんと一緒に語り合います。
「短歌講座」と聞くと、技法などのイロハを学ぶ講義形式を想像される方も多いかもしれませんが、この講座は少し違います。とにかく、「まず詠んでみる」。ひとりで。講座前の宿題として。そして講座当日は「語り合う」。なかなか大胆なスタイルの講座です。
この「講座レポート」を読んでくださっている方は敷居の高さをお感じになるかもしれませんし、実際に、9月の初回時は、会場内に受講された方々の緊張が漂っていました。
それでも、短歌は31文字ですし、表現自体の敷居はかなり「バリアフリー」。だからこそ、「まず詠んでみることから始める」というのは理に適っているように思います。
まずは一度、自分の外側に言葉でできた「作品」をポンと置いてみる。そして、ほかの人の目を通して、自分の言葉を改めてじっくりと見つめてみる。同じように、ほかの人の言葉もじっくりと見つめてみる。その往復の中で、言葉を見る目が養われ、言葉のバリエーションが増え、きめ細かく豊かになっていく。そんなイメージです。
今回のテーマ「はたらく」は、誰にとっても身近でありながら、ほかの人とはなかなか共有しづらい話題でもあります。それでも、職業も年齢も生活環境も違う方たちが同じ場に集い、作品を通じた心情理解の発言が交わされ、少しずつ緊張が和らいでいく。その様子を見ていると、何か「人間っていいなあ」と、じんわりと込み上げるような思いを覚えます。
今回の講座はすでに進行中ですが、またいつか開催する機会がありましたら、そのときはぜひご参加ください。(T.Y)
