南部勤労者福祉センターでは、6月26日(土)に講座「木のスツール作り〜天使のコシカケ」を実施しました。
南部勤労者福祉センターは、健康文化交流館「来・て・こ」の2階。今回の会場は、3階にある駿河生涯学習センターのホールです。
ちなみに、1階は小鹿老人福祉センターで、「来・て・こ」は3つで1つの複合施設として、こんな風にお互い持ちつ持たれつ運営しております。
ところで、今回の講座。
副題になっている“天使のコシカケ”って何だと思われますか?
さてはて、天使のような座り心地なのか?
もちろん、座り心地が上々なのは言わずもがな、そこには由来があります。
それは、ウイスキーが樽の中で熟成中に蒸発して少し減ってしまった分のことを言う「天使のわけまえ」。講師の野木村敦史さんが、家づくり等で使われなかった端材や間伐材を「天使のわけまえ」と捉え、その木材で作成するスツールを「天使のコシカケ」と名付けられました。
その「天使のわけまえ」たる木材の中から、ひとつを選ぶところから講座は始まります。
床に並べた木材。その種類や産地を、野木村先生がご説明くださいます。種類は杉と檜の2種であること。産地はオクシズ、三重県尾鷲市、その他であること。一部木材には「背割り」という加工が施されていること。
6名の参加者の皆さま、木の見た目やスツールの用途とかだけでなく、説明いただいた由来にも想いを馳せているのでしょう、ためつすがめつ、木をじっくり選びます。そして、「いっせーのーせ!」で指差してチョイス。
木材を選んだら、のこぎりでお好みのサイズに裁断します。のこぎりはやさしく握って、力を入れずに引くことで、綺麗な切り口で切れるそう。実際、親指と人差し指でのこぎりを引いて見せてくださる先生に、どよめきが!
そして、脚となるステンレスパーツの差し込み口をドリルで穴開け。まっすぐにドリルが差さっているか、参加者同士で見合います。連帯感!
最後にサンドペーパーで表面の磨き上げ。スツールの印象は磨き方で変わります。きれいに磨き上げるか、敢えて粗めに仕上げるか。どのくらい角を削るか(面取りするか)。だから、この最後の工程が今回の講座の肝であり、クライマックスなのです。
サンドペーパーは繊維と同じ方向でかけるのがコツだそう。磨き上げていく内に、木目が浮かび上がっていきます。この木目の美しさ…。杉は白い地肌に茶色の線がくっきり。檜は白い地肌の中に仄かな赤みが浮かびます。この美しさに触れられることが、正に「天使のわけまえ」なのかもしれません。
仕上げにステンレスパーツを差し込んでがたつき調整をして出来上がり。木材の個性と参加者の皆さんの個性が掛け合わされ、どれも素敵なスツールになりました。
南部勤労者福祉センターとしては、皆さんの勤労の後に、途中に、前に、暮らしの場面場面に、このスツールが共にあることを願うばかりです。
そう言えば、講座の途中、マスクが一瞬ずれてしまったとき、会場内が木の瑞々しい香りに満ちていたことに気づきました。こちらの「天使のわけまえ」も、心置きなく味わえる日が早く来て欲しいですね。(T.Y)