南部勤労者福祉センターでは、2月4日(土)にトークイベント『カルチャーが生まれる小さなお店のつくりかた』を開催しました。
南部勤労者福祉センターは、健康文化交流館来・て・この2階。今回の会場は、3階にある駿河生涯学習センターのホールです。ちなみに、1階は小鹿老人福祉センターで、「来・て・こ」は3つで1つの複合施設として、こんな風にお互い持ちつ持たれつ運営しております。
それで、今回の『カルチャーが生まれる小さなお店のつくりかた』。
ゲストは、グッズ制作やギャラリー展示など、独自の運営を続ける三島市のラーメン店「ラーメンやんぐ」店主の高梨哲宏さんと、熱海市にてオリジナルの土産物を制作し、土産物店兼観光案内所「新熱海土産物店ニューアタミ」を運営する横須賀馨介さん。更に、聞き手に開業前から2人の取材を続ける静岡新聞の菊地真生記者を迎えまして、開業に至るまでの経緯、お店を運営する上での思いなどを伺いました。
まずは高梨さんのお話。高梨さんは10年以上に渡るバンド活動、その間のフリー音楽フェス「IZU YOUNG FES」の主宰などを経て2017年に「ラーメンやんぐ」を開業されました。
やんぐをご存知の方は、次から次へと生み出されるグッズや企画にワクワクドキドキなのではないかと思いますが、そこには「一番長くお店に居る自分が飽きないように」という思いがあるそうです。また、高梨さんは理想の「やんぐ」像として、「(1に)美味しい料理、(2に)居心地の良い空間、(3に)新しい出会いがあったらいいなあ」と話されていました。やんぐは正にその理想が具現化されたお店のように感じますが、そもそもやんぐは高梨さんが「好き」だと思う要素をサンプリング的に集めて作ったというお店で、何よりご自身がお店のファンだからこそ、理想的な状況を生み出せるのかもしれません。
続いて、横須賀さんのお話。横須賀さんは東京の広告制作会社でお勤めしながら、好きな銭湯文化を盛り上げるためのイベント『Get湯!』を企画されます。その後「大瀧詠一のナイアガラの風景がある!」と熱海市に移住。今は「新熱海土産物店ニューアタミ」を運営されております。
横須賀さんは熱海に元々あったお店のロゴなどを活かしてお土産を制作されていますが、その根底には好きなお店がなくなってしまったり、好きな場所が廃れることへの寂しさと、それを残したいという思いがあるそうです。「自分が何かを生み出している訳じゃなく、そこにあるものが素晴らしいのだから、それに応えているだけ」と話されていて、地域の小さな歴史の継承を、それが「好き」だからと気負わずにされているんだなと思いました。
そう、お二人の共通点のひとつは「好き」から始まっていること。
菊地記者は、高梨さんと横須賀さんを「二人は“地域づくり”のためにやっていない人たち。二人ともただ好きなことをやっているだけで、それが(地域のコミュニティの再生といった)社会課題に繋がっている。プロジェクトよりも先に「好き」があるから上手くいくのではないか」と評します。一見すごく一個人的な「好き」から始まる行いが、色々な経緯を経て何故だか他の人や地域のためにもなってしまう。人の営み、つまりカルチャーって、そういうものかもしれません。
今年度来・て・こでは、12月に、デザイナーの山口良太さん、写真家の鈴木竜一朗さんをゲストに迎えた『デザイナーと考える暮らしの楽しみ方〜旅するように仕事する100(?)の方法』、そして今回と、2回のトークシリーズを開催して参りました。このシリーズは、来年度も引き続き2回の開催を予定しております。内容はまだ未定!ぜひぜひ次回もよろしくお願いいたします。(T.Y)