西部生涯学習センターでは、静岡市美術館で開催中の「京都・細見美術館の名品−琳派、若冲、ときめきの日本美術−」展に合わせ、同館の学芸員による「しずび出前講座(全2回)」を開催しました。第1回を4月25日に実施し、仏教・神道美術、工芸、茶道具、琳派や伊藤若冲の絵画などの見どころを解説していただきました。
今回、金銅春日神鹿御正体(こんどうかすがしんろくみしょうたい)をはじめ重要文化財8件が展示されますが、重要文化財は原則、公開回数は年間2会場、公開期間は延べ60日以内です。この展覧会は今秋、長野でも開催されるため、展示期間を2館で調整したことが説明されると、参加者の皆さんから驚きの声が上がりました。また、細見美術館が所蔵する伊藤若冲の全作品19件が一堂に展示されることも教えていただきました。
個々の名品の紹介では、学芸員の専門性を活かした解説を聞くことができました。中でも、葛飾北斎《五美人図(ごびじんず)》では、描かれた5人の女性たちを当時の髪型や着物、調度等から描かれた場面の立場や年齢を考察できること、尾形光琳《柳図香包(やなぎずこうづつみ)》では、当初は縦横の線を折り畳んで使用する香包として制作された包みを開けた時のデザイン性の美しさと図柄が変化する仕掛けを深掘りして聞けたことが印象的でした。
第2回(5月9日)は静岡市美術館で展覧会を鑑賞しますが、作品の見どころだけでなく、名品に関する逸話や細見家三代の収集に関する先見性や鑑識眼なども知ることができ、鑑賞への期待感を高める講義となりました。5月26日まで開催される今回の展覧会は、現在でも高い人気を誇る琳派、伊藤若冲など、名品が一同に展示される貴重な機会です。ぜひ、皆さんも静岡市美術館に足をお運びください。
K.M
尾形光琳《柳図香包》細見美術館蔵