江戸時代に書かれた弥次さん喜多さんの珍道中記『東海道中膝栗毛』や、
その作者、十返舎一九の名前は、みなさまも一度は耳にしたことがある
と思います。
では、十返舎一九が静岡市(駿府)出身だったことはご存じでしょうか?
一九の生家は、現在の両替町にあったとされています。
本年は一九生誕250周年に当たり、さらに長田生涯学習センターを拠点に
活動している市民団体「駿府十返舎一九研究会」の結成15周年でもあります。
それらを記念し、講演会「十返舎一九と駿府・静岡」を開催しました。
講師として、静岡大学教授・小二田誠二氏、駿府十返舎一九研究会・篠原旭氏、
大畑緑郎氏の3名が参加しました。
講演会は一九研究会のお二人によるお話から始まりました。大畑氏からは
重田(一九の本姓)家過去帳などの史料を、丹念に調査した結果に基づく、一九
の父親に関する研究成果の発表がなされました。続いて篠原氏が、展覧会への
協力や近世文学学会での発表など、発足から現在に至る駿府十返舎一九研究
会の歩みをお話になり、そして小二田氏は、「日本で最初に、文筆のみで生計を
立てた職業作家として、十返舎一九は文学史上、重要な立ち位置を占める」と、
講演されました。
最後に講師3名による座談会が行われました。小二田氏がコーディネーターと
なってお話は進み、一九研究会の活動の中でも、印象深かった出来事や、一九
に関する四方山話など、歓談の中にもお三方の深い学識が垣間見え、知的好奇
心を刺激してやまない2時間でした。
静岡の偉人である十返舎一九の事績を広め、また駿府十返舎一九研究会の活動
を通して、生涯学習活動の奥深さを広めることが出来たと思います。長田生涯学習
センターでは、今後も郷土理解を促進する講座を実施してまいります。
(K.M)