「温泉めぐりと史話・巷談」は歴史研究家、佐野明生氏による市内・県内の有数の温泉地にまつわる歴史、巷談、効能についての講演で、歴史はもとより地方の郷土史や伝承にいたるまで講師の豊富な知識には驚かされるばかりでした。
例えば、修善寺温泉については修禅寺の住職が始めた桂谷八十八カ所巡拝の伝統行事などが紹介されました。住職が四国八十八の霊場からそれぞれ土を持ち帰り、弘法大師と縁のある修善寺の地に八十八の石碑を建てて埋め、11月7日から9日の三日間に巡拝すると、四国八十八ヶ所巡礼と同じご利益があるという話には受講者も興味深々で、さっそく計画した方もいらっしゃいました。
また、一昨年の大河ドラマでは直虎が女城主として一躍有名になりましたが、湯山温泉を愛した寿桂尼も尼御台としてすばらしい内政を務めていました。隠れた逸材としてもっと歴史上研究されてよい人物というお話でした。その他、梅ケ島温泉郷日陰沢金山跡地に墓が残る、金掘人足の相手をした遊女の悲話、伊東温泉の「尻つみ祭」、稲取温泉の「どんつく」といった奇祭など、庶民の生き方、暮らしを盛り込んだ講演に受講者の歴史愛好家や温泉愛好家が感銘を受けた様子がうかがえました。
最後に、講師は表・裏・斜めといろいろな角度から歴史を見る史眼の重要性を強調し、講座を終了しました。
広くて深い講師の歴史講話にはファンも少なくなく、今回の講座にも「おっかけ」を称する受講者がおいでになり、続編を期待する声も多く寄せられました。
(T.S)