静岡市生涯学習センター

　5月18日に静岡市美術館学芸員による「しずび出前講座」を実施しました。ガウディ、ピカソ、ミロなど独創的な芸術家を育んできた芸術都市バルセロナについての講座です。この講座は11月15日から静岡市美術館で開催する展覧会「奇蹟の芸術都市バルセロナ展」をより興味深く鑑賞していただくことも目的としています。

　キーワードは「街の拡張」と「地域文化の復興」でした。「街の拡張」は産業革命後、人口増加により、新しくなされた都市計画がポイントになっています。ブロックを碁盤の目状につくり、ブロックの四隅を隅切りしたことや、公共施設を計画的に配置した都市計画に受講者の皆さんは興味津津でした。「街の拡張」と同時にバルセロナ万博の開催により、カタルーニャの復活、新しい建築の登場、ジャポニスムへ関心の高まり、都市空間の整備がなされました。

　また二つ目のキーワード「地域文化の復興」についてはガウディ、ピカソ、ミロの建築物、絵画等のスライドを見ながら、産業革命によって財を成した富裕層により、中世のカタルーニャ文化の復興から文化が変遷していったことを学びました。近代化(ムダルニズマ)からその先の総合芸術へ、さらに近代化を否定し、古代地中海文明への回帰を求めたノウサンティズマ運動から前衛芸術へと様々な文化についての興味深い解説に受講者の皆さんは耳を傾け、スライド画面を注視していらっしゃいました。

　一方、芸術文化の発展を支えた富裕層と対照的に労働者階級の疲弊が対立構造を生み、「爆弾テロ」が続発したことなど「影」の部分も語られた、奥深さに感銘を受けた様子の受講者もいらっしゃいました。

　アンケートには充実した内容、深い理解が得られたことがうかがえる意見・感想が多数寄せられました。また、関連展覧会の「奇蹟の芸術都市バルセロナ展」の広報により、受講者からは「事前に講演を聞けてよかった。」「展覧会を楽しみにしている。」さらには「バルセロナに行きたい。」という声があがりました。

　「しずび出前講座」は静岡市美術館の学芸員が情報発信する、美術芸術分野についての専門性の高い講座です。関連展覧会が開催されることもありますので、事前にお聞きいただき、静岡市美術館の展覧会をよりお楽しみください。

(Ｔ．Ｓ)